構音障害で聞き返されることが増えるのはなぜ?
「最近、『もう一度お願いします』と言われることが増えた」
「何度も聞き返されてしまう」
「自分では普通に話しているつもりなのに、相手に伝わらない」
構音障害のある方から、このような悩みをよく聞きます。
何度も聞き返されると、「ちゃんと話せていないのではないか」「もう話したくない」と感じてしまうこともあります。
しかし、聞き返されるのはご本人の努力不足ではありません。構音障害による話し方の変化が関係していることが多くあります。
この記事では、聞き返されることが増える理由について分かりやすく解説します。
聞き返されるのは「発音が少し変わる」だけでも起こる
話し言葉は、一つひとつの音が正しく聞こえることで相手に伝わります。
構音障害では、
- 発音が少し不明瞭になる
- 声が小さくなる
- 話すスピードが変わる
などの変化が起こります。
わずかな変化でも、相手は言葉を理解しにくくなり、聞き返すことがあります。
発音が不明瞭になるため
構音障害では、
舌や唇、あごなどを思うように動かせなくなることがあります。
そのため、
- 「た」と「か」
- 「ぱ」と「は」
など、音の違いが分かりにくくなることがあります。
相手は言葉の意味を判断できず、「もう一度お願いします」と聞き返すことがあります。
声が小さいため
声が小さくなると、発音が正しくても相手に届きにくくなります。
特に、
- パーキンソン病
- ALS
などでは声量が低下しやすく、聞き返される原因になることがあります。
話すスピードが影響することも
早口になると、音がつながって聞こえたり、省略されたりしてしまいます。
一方で、極端にゆっくり話す場合も、
会話の流れが分かりにくくなり、相手が内容を理解しにくいことがあります。
初対面の人は聞き取りにくい
家族や親しい人は、
普段から話し方を聞いているため、多少発音が不明瞭でも内容を予測できます。
一方、初対面の人は話し方の特徴を知らないため、
同じ話し方でも聞き返すことが多くなります。
周囲が騒がしいとさらに聞き取りにくい
病院の待合室やスーパーなど、
周囲に音が多い場所では、少しの発音の乱れでも聞き取りにくくなります。
これは環境の影響も大きいため、ご本人だけが原因ではありません。
緊張するとさらに聞き返されやすくなる
「聞き返されたくない」という気持ちが強くなると、
- 声が小さくなる
- 呼吸が浅くなる
- 発音が崩れる
ことがあります。
その結果、さらに聞き返されるという悪循環になることもあります。
聞き返されることは珍しくない
構音障害のある方の多くが、「聞き返される」という経験をしています。
決して、話し方が悪いからでも、努力が足りないからでもありません。
構音障害では、ごく自然に起こる症状の一つです。
聞き返されにくくする工夫
少しの工夫で、伝わりやすくなることがあります。
ゆっくり話す
一音ずつ丁寧に発音しやすくなります。
一文を短くする
短く区切ることで相手も理解しやすくなります。
相手の顔を見て話す
表情や口の動きも伝わるため、理解しやすくなります。
静かな場所で話す
周囲の雑音が少ない環境を選ぶと、聞き取りやすくなります。
家族ができるサポート
聞き返される場面では、ご家族が焦って代わりに話してしまうことがあります。
もちろん必要な場面もありますが、まずはご本人が最後まで話す時間を作ることも大切です。
また、聞き取れなかったときは、「ごめんね、もう一度お願いできる?」
と穏やかに聞き返すことで、ご本人も安心して話し続けることができます。
まとめ
聞き返されることが増えるのは、構音障害によって発音や声の大きさ、話すスピードが変化し、相手が言葉を聞き取りにくくなるためです。
特に初対面の人や騒がしい場所では、聞き返されやすくなります。
聞き返されることは、ご本人の努力不足ではなく、構音障害によくみられる症状の一つです。
周囲の理解と少しの工夫によって、より伝わりやすいコミュニケーションにつなげることができます。

