発音が不正確になるのはなぜ?

「ちゃんと話しているつもりなのに、違う言葉に聞こえる」
「『た』と言ったのに『か』に聞こえると言われた」
「発音がはっきりしない」

構音障害のある方から、このような悩みをよく聞きます。

構音障害では、言葉が聞き取りにくくなるだけでなく、本来出したい音とは違う音になってしまうことがあります。

これを「発音が不正確になる」と表現します。

この記事では、なぜ発音が不正確になるのかを分かりやすく解説します。

発音が不正確になるとは?

発音が不正確になるとは、本来出したい音を正しく作れなくなる状態です。

例えば、

  • 「た」が「か」に聞こえる
  • 「ぱ」が「は」に聞こえる
  • 「ら」がうまく言えない

といったことがあります。

ご本人は正しく発音しているつもりでも、舌や唇の動きが十分でないため、違う音として相手に伝わってしまいます。

発音は精密な動きで作られている

私たちは普段何気なく話していますが、発音には非常に細かな動きが必要です。

例えば、

「た」

舌先を上あごにつけて離す

「ぱ」

唇を閉じて開く

「か」

舌の奥を持ち上げる

それぞれ異なる動きによって作られています。

少しでも位置やタイミングがずれると、別の音になったり、不明瞭な音になったりします。

舌の動きが不十分な場合

構音障害では、舌の動きが弱くなったり遅くなったりすることがあります。

すると、

  • 舌先が届かない
  • 動きが小さい
  • タイミングがずれる

といった状態になります。

その結果、

  • た行
  • な行
  • ら行

などが不正確になりやすくなります。

唇の動きが弱い場合

唇をしっかり閉じられないと、

などの音が作りにくくなります。

例えば、「パン」が「ハン」のように聞こえることがあります。

顔面神経麻痺や脳卒中では、このような症状がみられることがあります。

のどや軟口蓋の影響

軟口蓋(なんこうがい)は、口と鼻の空気の流れを調整しています。

この動きが弱くなると、空気が鼻へ漏れてしまい、

音がぼやけたり鼻声になったりします。

その結果、発音が不正確に聞こえることがあります。

話すスピードも関係する

話すスピードが速すぎると、口の動きが追いつかなくなることがあります。

特にパーキンソン病では、

  • 早口になる
  • 音が省略される

ことがあります。

すると、発音そのものが不正確になりやすくなります。

病気によって特徴は違う

脳卒中

舌や唇の動きが低下し、音がゆがむことがあります。

パーキンソン病

全体的に発音が小さく不明瞭になります。

ALS

舌や唇の筋力低下によって徐々に発音が難しくなります。

小脳疾患

発音のタイミングがずれ、音が不安定になります。

発音が不正確でも理解力は保たれていることが多い

発音が不正確だと、「言葉が分かっていないのでは?」と思われることがあります。

しかし構音障害では、何を話したいかは分かっていることがほとんどです。

問題は、「言葉を作るための動き」にあります。

失語症とは異なる症状です。

リハビリで改善することはある?

はい、改善する可能性があります。

言語聴覚士は、

  • どの音が言いにくいか
  • どの器官の動きが低下しているか

を評価します。

その上で、

  • 発音練習
  • 音読練習
  • 舌や唇の運動
  • 呼吸や発声の練習

などを行います。

原因によって改善の程度は異なりますが、聞き取りやすさが向上することがあります。

家族ができるサポート

発音が不正確でも、ご本人は一生懸命話しています。

そのため、

  • 最後まで話を聞く
  • 推測だけで会話を終わらせない
  • 分からないときは優しく聞き返す

ことが大切です。

「伝わらない経験」が続くと、会話そのものを避けるようになることもあります。

まとめ

発音が不正確になるのは、舌や唇、のどなどの動きが十分に行えなくなるためです。

発音は非常に繊細な動きによって作られているため、少しのずれでも別の音になったり、不明瞭になったりします。

構音障害では、発音が不正確でも理解力や考える力は保たれていることが多くあります。

原因に応じたリハビリや周囲の理解によって、より伝わりやすい会話を目指すことができます。

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