子どもの構音障害とは?
子どもの発音を聞いていると、さかなをたかなと言ったり、らっぱをだっぱと言ったりすることがあります。
小さな子どもでは、このような発音の誤りは珍しいものではありません。
発音する力は成長とともに発達していくため、幼児期にはまだうまく発音できない音があるからです。
一方で、ある程度の年齢になっても特定の音がうまく言えなかったり、発音が不明瞭で周囲の人に伝わりにくかったりする場合には、構音障害が関係していることがあります。
この記事では、子どもの構音障害とはどのようなものなのか、発音がうまくできない原因や相談を考える目安についてわかりやすく解説します。
構音とは?
構音とは、舌や唇、あごなどを動かして、ことばの音を作ることです。
私たちが話すときには、肺から出た空気が喉を通り、舌や唇などの動きによってさまざまな音へと変化します。
例えば、ぱという音を出すときには上下の唇を一度閉じてから開きます。
一方、たという音では舌の先を上の歯の裏側付近につけて音を作ります。
このように、それぞれの音には舌や唇を動かす位置や方法があります。子どもは成長するなかで、この複雑な動かし方を少しずつ身につけていきます。
子どもの構音障害とは?
構音障害とは、ことばを話すために必要な音を正しく作ることが難しい状態です。
子どもの場合には、特定の音を別の音に置き換えたり、音を省略したり、正しい音とは少し違った音になったりすることがあります。
その結果、家族には話が伝わっていても、園や学校の先生、友達などには聞き取りにくいことがあります。
構音障害でみられる発音の誤りには、主に次のようなものがあります。
・置換:ある音を別の音に置き換える
・省略:ことばの一部の音がなくなる
・歪み:日本語の一般的な音とは異なる発音になる
例えば、さ行をた行に置き換えたり、か行をた行に置き換えたりすることがあります。
ただし、このような発音の誤りがあるからといって、すべての子どもが構音障害というわけではありません。
年齢によっては発音の発達途中としてみられることもあります。
子どもの発音は少しずつ発達する
子どもは、ことばを話し始めたときから大人と同じようにすべての音を発音できるわけではありません。
発音しやすい音から少しずつ獲得し、成長するにつれて難しい音も言えるようになっていきます。
唇を使う音などは比較的早く獲得される一方、舌の細かな動きを必要とする音は獲得までに時間がかかることがあります。
そのため、幼い子どもが言えない音を無理に練習させる必要がない場合もあります。
発音が年齢相応の発達なのか、それとも専門家への相談が必要なのかを考えるときには、子どもの年齢と発音の発達段階を一緒にみることが重要です。
発音がうまくできない原因
子どもの発音がうまくできない原因はさまざまです。
単純に発音の発達途中である場合もあれば、口の構造や聞こえなどが関係している場合もあります。
発音の発達途中
幼児期には、まだ正しく発音できない音があることは珍しくありません。
特に発音するために細かな舌の動きが必要な音は、正しく言えるようになるまで時間がかかることがあります。
成長に伴って自然に正しい発音へ変化していく場合もあります。
舌や唇の使い方
発音するためには、舌や唇を適切な位置へ動かす必要があります。
正しい舌の位置や動かし方をうまく身につけられていないと、特定の音が言いにくくなることがあります。
このように、発音に関係する器官に明らかな問題がないにもかかわらず、特定の音を正しく作ることが難しい場合があります。
口や鼻などの構造
口蓋裂など、口や鼻、あごなどの構造が発音に影響することがあります。
発音するときに必要な空気をうまく調整できなかったり、舌を適切な位置につけにくかったりすることで、発音が不明瞭になる場合があります。
聞こえの問題
子どもは周囲の人が話している音を聞きながら、少しずつ発音を覚えていきます。
そのため、聞こえにくさがあると、ことばの音を正確に聞き分けることが難しくなり、発音の発達に影響することがあります。
子どもは自分から聞こえにくさを訴えないこともあるため、発音だけでなく聞こえについて確認することも大切です。
運動機能の問題
発音には舌、唇、あごなどの細かな運動が必要です。
何らかの理由によって、これらを適切に動かすことが難しい場合には、発音が不明瞭になることがあります。
発音の間違いを何度も注意していい?
子どもの発音が気になると、正しい発音を教えようとして何度も言い直させたくなるかもしれません。
しかし、まだ発音する準備が整っていない音を繰り返し練習させても、すぐに正しく言えるようになるとは限りません。
何度も発音を直されることで、子どもが話すことに苦手意識を持ってしまう可能性もあります。
発音を間違えるたびに注意するのではなく、まずは子どもが伝えようとしている内容を受け止めることが大切です。
発音の練習が必要な場合には、子どもの発達や発音の状態を確認し、その子に合った方法で進めていきます。
どのような場合に相談すればいい?
発音の発達には個人差があるため、何歳なら必ず相談が必要と一律に決めることはできません。
ただし、次のような場合には専門家への相談を検討してもよいでしょう。
・同年代の子どもと比べて発音がかなり聞き取りにくい
・特定の音の誤りが長く続いている
・家族以外の人にことばが伝わりにくい
・本人が発音を気にしている
・発音を理由に話すことを避けるようになった
・口や舌の動きが気になる
・聞こえにくさが疑われる
・就学を控えて発音が心配
相談先としては、言語聴覚士がいる医療機関や療育機関、地域の発達相談などがあります。
聞こえについて心配がある場合には、耳鼻咽喉科への相談も検討します。
構音障害では子どもに合わせた対応が大切
子どもの発音がうまくできない理由は一人ひとり異なります。
発達の途中として自然に改善していく場合もあれば、構音訓練などの専門的な支援が必要になる場合もあります。
そのため、単に正しい音が言えるかどうかだけではなく、年齢、発音の誤り方、口や舌の状態、聞こえ、ことば全体の発達などを確認することが大切です。
構音訓練が必要な場合も、最初から難しいことばを何度も練習するのではなく、正しい音の出し方を身につけ、単音、単語、文章、会話へと段階的に練習していきます。
まとめ
子どもの構音障害とは、ことばの音を正しく作ることが難しい状態です。
音を別の音に置き換える、省略する、歪んだ音になるなど、さまざまな発音の誤りがみられます。
ただし、子どもの発音は成長とともに発達するため、幼児期の発音の誤りがすべて構音障害というわけではありません。
発音がうまくできない背景には、発音の発達途中、舌や唇の使い方、口や鼻などの構造、聞こえ、運動機能など、さまざまな要因があります。
発音が長期間改善しない、周囲の人に伝わりにくい、本人が発音を気にしているといった場合には、言語聴覚士などの専門家に相談し、子どもの状態を確認することが大切です。

