手話通訳・要約筆記とは?
「病院で説明を聞くのが難しいときはどうすればよいのでしょうか。」
「手話通訳と要約筆記は何が違うのでしょうか。」
聴覚障害がある方にとって、病院や役所、学校、職場などでの説明を正確に理解することはとても大切です。
しかし、聞こえにくさによって大切な情報を十分に理解できないことがあります。
そのようなときに利用できるのが、手話通訳や要約筆記です。
どちらもコミュニケーションを支える大切な支援ですが、対象となる方や方法には違いがあります。
この記事では、手話通訳と要約筆記の違いや利用方法について、言語聴覚士がわかりやすく解説します。
手話通訳とは?
手話通訳とは、手話を使って会話を伝える支援です。
話し手の内容を手話に訳したり、手話で話された内容を音声に訳したりします。
手話を日常的に使っている方にとって、重要なコミュニケーション手段です。
例えば、
- 病院の受診
- 市役所での手続き
- 学校の面談
- 裁判や行政手続き
- 講演会やイベント
など、さまざまな場面で利用されています。
要約筆記とは?
要約筆記とは、話の内容を文字で伝える支援です。
話された内容をそのまま一字一句書き写すのではなく、意味が伝わるように要点をまとめて文字で表示します。
主に、
- 中途失聴の方
- 加齢性難聴の方
- 手話を使わない方
などが利用することが多い支援です。
手話通訳と要約筆記の違い
両者の違いを簡単にまとめると、
手話通訳
- 手話で伝える
- 手話を理解できる方が対象
- 双方向の会話ができる
要約筆記
- 文字で伝える
- 手話を使わない方も利用できる
- 話の要点を読みながら理解する
どちらが適しているかは、本人のコミュニケーション方法によって異なります。
要約筆記には2つの方法がある
要約筆記には、大きく2つの方法があります。
手書き要約筆記
紙やホワイトボードなどへ、手書きで内容を書きます。
少人数の場面で利用されることが多くあります。
パソコン要約筆記
パソコンで入力した内容を、スクリーンやモニターへ表示します。
講演会や会議など、長時間・大人数の場面でよく利用されています。
どんな場面で利用できる?
手話通訳や要約筆記は、さまざまな場面で活用できます。
例えば、
- 病院で診察を受けるとき
- 市役所で手続きをするとき
- 学校の保護者面談
- 就職面接
- 職場の会議
- 講演会や研修会
- 地域のイベント
などです。
大切な説明を正確に理解するためにも、積極的に活用しましょう。
利用するにはどうすればいい?
多くの自治体では、手話通訳者・要約筆記者派遣事業を実施しています。
利用を希望する場合は、市区町村の障害福祉担当窓口や、聴覚障害者情報提供施設などへ相談します。
利用には事前申し込みが必要なことが多いため、早めに手続きを行いましょう。
費用はかかるの?
自治体が実施する派遣事業では、無料または少ない自己負担で利用できる場合が多くあります。
ただし、対象となる場面や利用条件は自治体によって異なります。
詳しくは、お住まいの自治体へ確認しましょう。
最近は遠隔通訳も広がっている
近年では、スマートフォンやタブレットを利用した遠隔手話通訳も普及しています。
画面越しに手話通訳者とつながることで、外出先や医療機関でも利用しやすくなっています。
自治体や施設によって利用方法が異なるため、事前に確認しておくと安心です。
家族や周囲も知っておきたい支援
手話通訳や要約筆記は、本人だけでなく、家族や周囲の人にとっても大切な支援です。
「聞こえにくいから仕方がない」ではなく、適切な支援を利用することで、本人が安心して会話へ参加できるようになります。
必要な場面では、遠慮せず利用を希望しましょう。
言語聴覚士ができる支援
言語聴覚士(ST)は、聞こえの状態やコミュニケーション方法を評価し、手話や要約筆記を含め、その方に合った支援方法を一緒に考えます。
また、補聴器や人工内耳との併用、学校や職場で利用できる支援についても助言を行います。
必要に応じて、耳鼻咽喉科や自治体、聴覚障害者情報提供施設などと連携しながら支援を進めます。
「伝わる環境」を整えることが大切
聞こえにくさがあっても、情報が正しく伝わる環境があれば、安心して社会参加することができます。
手話通訳や要約筆記は、そのための大切な支援です。
「自分には必要ない」と決めつけず、困った場面では積極的に活用してみましょう。
まとめ
手話通訳は手話で会話を伝える支援、要約筆記は話の内容を文字で伝える支援です。
本人のコミュニケーション方法に合わせて利用することで、病院や役所、学校、職場などで必要な情報を正しく理解しやすくなります。
多くの自治体では手話通訳者や要約筆記者の派遣事業を実施しており、無料または少ない自己負担で利用できる場合があります。
困ったときは一人で抱え込まず、自治体や聴覚障害者情報提供施設へ相談し、自分に合った支援を活用しましょう。

