聞き返すことが苦手なときはどうする?
「聞こえなかったけれど、聞き返すのが申し訳ない……。」
「何度も聞き返すのが恥ずかしくて、そのまま話を合わせてしまいます。」
聞こえにくさがある方の中には、このような悩みを抱えている方が少なくありません。
聞き返すことに遠慮してしまうと、会話の内容を十分に理解できず、仕事や学校、日常生活で困る場面が増えることがあります。
実は、聞き返すことは決して悪いことではありません。
大切なのは、自分に合った方法で相手に伝え、安心してコミュニケーションを続けることです。
この記事では、聞き返すことが苦手なときの工夫について、言語聴覚士がわかりやすく解説します。
聞き返すことは自然なこと
聞こえにくさがあると、すべての言葉を一度で聞き取ることは難しい場合があります。
また、聞こえに問題がない人でも、周囲が騒がしかったり、相手が早口だったりすると聞き返すことがあります。
そのため、聞き返すことは特別なことではなく、会話を正しく理解するための自然な行動です。
「分かったふり」は困りごとにつながる
聞き返すことを遠慮して、分かったふりをしてしまうことがあります。
しかし、内容を誤解したまま話が進むと、
- 約束の時間を間違える
- 仕事でミスが起こる
- 大切な説明を聞き逃す
など、思わぬトラブルにつながることがあります。
分からないままにするよりも、その場で確認する方が安心です。
聞き返しやすい言葉を準備しておこう
聞き返すことに苦手意識がある方は、あらかじめ使いやすい言葉を決めておくと安心です。
例えば、
- 「もう一度お願いします。」
- 「少しゆっくり話していただけますか。」
- 「最後のところだけ、もう一度教えてください。」
- 「聞き取れなかったので、もう一度お願いできますか。」
など、短く丁寧な言葉を使うと、相手にも伝わりやすくなります。
「全部」ではなく「一部」を確認する
会話の一部だけ聞き取れなかった場合は、すべてを繰り返してもらう必要はありません。
例えば、「○時に○○へ行く」と聞こえたけれど、時間だけ分からなかった場合は、「時間だけもう一度お願いします。」と伝えると、相手の負担も少なくなります。
静かな場所へ移動する
周囲が騒がしい場所では、聞き返しても聞き取りにくいことがあります。
そのようなときは、
- 静かな場所へ移動する
- テレビや音楽を止める
- 相手に近づいて話す
など、環境を整えることも大切です。
筆談やスマートフォンを活用する
どうしても聞き取りが難しい場合は、話すことだけにこだわる必要はありません。
例えば、
- メモを書いてもらう
- スマートフォンで文字を入力してもらう
- 音声認識アプリを利用する
など、文字による情報を活用することで、理解しやすくなることがあります。
補聴器や人工内耳を見直すことも大切
以前より聞き返す回数が増えた場合は、補聴器や人工内耳の調整が必要になっている可能性もあります。
「聞き返しが多くなった」「以前より聞き取りにくくなった」と感じたら、耳鼻咽喉科や補聴器販売店などで点検や調整を受けましょう。
周囲に聞こえにくさを伝える
職場や学校、よく会う友人などには、聞こえにくさがあることを伝えておくと安心です。
例えば、「聞こえにくいことがあるので、聞き返すことがあります。」と一言伝えておくだけでも、相手はゆっくり話したり、言い換えたりするなど、配慮しやすくなります。
聞き返すことはコミュニケーションの一部
聞き返すことを、「迷惑をかけている」と感じる方もいます。
しかし、正しく理解しようとする姿勢は、円滑なコミュニケーションにつながります。
聞き返すことは失敗ではなく、会話を続けるための大切な方法の一つです。
言語聴覚士に相談しよう
聞き返すことへの不安が強い場合は、言語聴覚士(ST)へ相談することもおすすめです。
聞こえの状態や生活場面に合わせて、
- 聞き返しやすい方法
- コミュニケーションの工夫
- 補聴器や人工内耳の活用方法
などについて、一人ひとりに合ったアドバイスを受けることができます。
まとめ
聞き返すことは、会話を正しく理解するための大切なコミュニケーション方法です。
分かったふりをするよりも、その場で確認することで、誤解やトラブルを防ぐことができます。
また、静かな場所で話す、筆談や音声認識アプリを活用する、聞き返しやすい言葉を準備しておくなどの工夫も役立ちます。
一人で悩まず、自分に合った方法を見つけながら、安心して会話を楽しんでいきましょう。

