音楽はリハビリテーションに役立つ?
「好きな音楽を聴くことは、聞こえのリハビリテーションになりますか?」
「補聴器や人工内耳を使い始めたあと、音楽を聴いた方がよいのでしょうか?」
音楽は、多くの人にとって楽しみの一つです。
一方で、聞こえにくさがある方の中には、「以前のように音楽を楽しめなくなった」「補聴器をつけると音楽が違って聞こえる」と感じる方もいます。
では、音楽は聴覚リハビリテーションに役立つのでしょうか。
この記事では、音楽と聴覚リハビリテーションの関係について、言語聴覚士がわかりやすく解説します。
音楽は聞く力を使う活動
音楽を聴くとき、私たちの脳は、
- メロディー
- リズム
- 楽器の音色
- 歌詞
など、多くの情報を同時に処理しています。
そのため、音楽を聴くことは、脳がさまざまな音を感じ取り、区別する機会になります。
音楽を楽しむことは良い習慣になる
好きな音楽を聴くことは、毎日音に触れる機会を増やすことにつながります。
特に補聴器や人工内耳を装用したばかりの方では、日常生活の中で音を聞く経験を積み重ねることが大切です。
音楽もその一つとして取り入れることができます。
また、好きな音楽は楽しみながら続けやすく、リハビリテーションへの意欲を保つきっかけになることもあります。
ただし、音楽だけで聞き取りが上達するわけではない
音楽は音に親しむ機会になりますが、音楽を聴くだけで言葉の聞き取りが大きく改善するとは限りません。
会話では、
- 子音の違い
- 話す速さ
- 言葉の意味
などを聞き取る必要があります。
一方、音楽ではメロディーやリズムを中心に楽しむことが多く、
会話とは求められる聞き方が異なります。
そのため、音楽はリハビリテーションの一部として取り入れることはできますが、家族との会話や聞き取りの練習なども合わせて行うことが大切です。
補聴器では最初は違和感があることも
補聴器を使い始めると、音楽が以前とは違って聞こえることがあります。
例えば、
- 音が硬く感じる
- 高い音が強調される
- 楽器の音が混ざって聞こえる
と感じる方もいます。
これは補聴器の調整や、脳が新しい音に慣れていないことが影響している場合があります。
使い続けたり、補聴器の調整を行ったりすることで、聞こえ方が変化することもあります。
人工内耳では音楽の聞こえ方が異なることがある
人工内耳では、音楽を自然に楽しめるようになるまで時間がかかることがあります。
歌声は聞き取りやすくても、楽器の音色やメロディーの違いを感じ取りにくい方もいます。
一方で、継続して音楽を聴くことで、少しずつ音色やメロディーの違いが分かりやすくなったと感じる方もいます。
聞こえ方には大きな個人差があります。
音楽を楽しむコツ
補聴器や人工内耳を使っている方は、最初から難しい曲に挑戦する必要はありません。
例えば、
- 昔からよく知っている曲
- ゆっくりしたテンポの曲
- 歌詞がはっきり聞こえる曲
- 一人の歌手が歌う曲
などから始めると、楽しみながら聞きやすいことがあります。
歌詞を見ながら聴くことも、音と言葉を結び付ける助けになります。
音量には注意しよう
「聞こえにくいから」と、音量を必要以上に大きくすることはおすすめできません。
大きすぎる音は、耳への負担となることがあります。
補聴器や人工内耳を使用している場合も、適切な音量で楽しむことが大切です。
音楽は生活の質(QOL)を高める
音楽には、聞こえの練習だけではなく、生活を豊かにする役割もあります。
好きな音楽を聴くことで、
- 気分転換になる
- リラックスできる
- 家族と楽しめる
- 趣味を続けられる
など、生活の質(QOL)の向上につながることが期待できます。
リハビリテーションは、「訓練」だけではありません。
好きなことを楽しみながら音に触れることも、大切な時間です。
言語聴覚士に相談しよう
音楽の聞こえ方に困っている場合は、言語聴覚士や耳鼻咽喉科で相談してみましょう。
補聴器の調整や聞き取りの工夫によって、音楽をより楽しめるようになる場合があります。
「音楽が前より楽しめない」と感じたときも、一人で悩まず相談することが大切です。
まとめ
音楽は、聞こえのリハビリテーションを支える活動の一つとして取り入れることができます。
毎日音に触れる機会が増え、楽しみながら続けられることは大きなメリットです。
ただし、音楽だけで言葉の聞き取りが大きく改善するわけではないため、会話や聞き取りの練習も合わせて行うことが大切です。
無理に難しい曲へ挑戦する必要はありません。自分の好きな音楽を楽しみながら、少しずつ音に慣れていきましょう。

