高次脳機能障害者の家族は何を理解すればいい?

高次脳機能障害と診断されると、ご家族は大きな不安を抱えます。

  • 「以前と別人のようになってしまった」
  • 「どう接すればいいのか分からない」
  • 「何度言っても同じことを繰り返すのはなぜ?」
  • 「本人は本当に分かっているの?」

このような疑問や戸惑いを感じることは決して珍しいことではありません。

高次脳機能障害は、見た目では分かりにくい障害です。そのため、ご本人だけでなく、ご家族も障害について正しく理解することが、安心して生活していくための第一歩になります。

この記事では、高次脳機能障害のあるご家族を支えるために、まず知っておきたい大切なポイントをご紹介します。

高次脳機能障害は「脳の障害」

高次脳機能障害は、

  • 脳卒中
  • 頭部外傷
  • 脳炎
  • 脳腫瘍

などによって脳が損傷することで起こります。

その結果、

  • 記憶障害
  • 注意障害
  • 遂行機能障害
  • 社会的行動障害
  • 半側空間無視

など、さまざまな症状が現れます。

これらは性格や努力不足によるものではなく、脳の障害によって生じている症状です。

まずはそのことを理解することが大切です。

見た目では分かりにくい障害である

高次脳機能障害の特徴の一つは、外見からは障害が分かりにくいことです。

身体に麻痺がない場合は、「元気そうに見える」「普通に話せている」と思われることもあります。

しかし実際には、

  • 約束を覚えられない
  • 集中できない
  • 段取りが立てられない
  • 疲れやすい

など、多くの困りごとを抱えています。

ご家族が「見えない障害」であることを理解することは、とても重要です。

「できること」と「できないこと」が混在する

高次脳機能障害では、あることは問題なくできるのに、別のことは難しいということがよくあります。

例えば、

  • 会話は普通にできる
  • 昔の出来事はよく覚えている

一方で、

  • 新しい約束を忘れる
  • 買い物の段取りが立てられない

ということがあります。

「さっきはできたのに、どうして今はできないの?」と感じることもありますが、これは高次脳機能障害の特徴の一つです。

本人も困っていることが多い

ご家族から見ると、「何度言っても忘れる」「注意すればできるはず」と思うことがあるかもしれません。

しかし、ご本人も、

  • 思い出せない
  • うまくできない
  • 以前のようにできない

ことに戸惑いや悔しさを感じている場合が少なくありません。

表情に出さなくても、心の中では大きな不安を抱えていることがあります。

感情や性格が変わったように見えることもある

高次脳機能障害では、

  • 怒りっぽくなる
  • 感情のコントロールが難しくなる
  • 意欲が低下する

などの症状がみられることがあります。

「性格が変わってしまった」と感じるご家族もいますが、これも脳の障害による影響である場合があります。

もちろん、すべてが障害だけで説明できるわけではありませんが、症状の一つとして理解することが、ご本人への接し方を考える助けになります。

「頑張ればできる」は当てはまらないこともある

ご家族は、「もう少し頑張ればできるのでは?」と思うことがあるかもしれません。

しかし、高次脳機能障害では、努力だけでは改善できない症状もあります。

例えば、記憶障害のある方に、「忘れないようにして」と言っても、症状そのものが改善するわけではありません。

そのため、

  • メモを使う
  • カレンダーを確認する
  • スマートフォンの通知を活用する

など、工夫しながら生活することが大切になります。

ご本人の「できること」を大切にする

支援をするときは、「できないこと」ばかりに目を向けるのではなく、「できること」を大切にしましょう。

例えば、

  • 一人で着替えられる
  • メモを見れば予定を確認できる
  • 家事を一部担当できる

など、小さなことでも構いません。

できることを続けることで、自信や意欲につながります。

家族だけで抱え込まない

高次脳機能障害の支援は、長く続くことがあります。

そのため、「家族だけで何とかしよう」と抱え込まないことが大切です。

困ったときは、

  • 主治医
  • 言語聴覚士
  • 作業療法士
  • 理学療法士
  • 医療ソーシャルワーカー

などに相談しましょう。

また、高次脳機能障害支援拠点や家族会などを利用することも、大きな支えになります。

家族自身の生活も大切にする

ご本人を支えたいという思いから、ご家族が無理をしてしまうことがあります。

しかし、支える側が疲れ切ってしまうと、長く支援を続けることが難しくなります。

趣味や休息の時間を確保し、自分自身の心と体の健康を大切にすることも、結果としてご本人を支える力になります。

「一緒に歩んでいく」という気持ちを持つ

高次脳機能障害は、すぐに元通りになるとは限りません。

しかし、リハビリや生活の工夫を続けることで、できることが増えたり、生活しやすくなったりすることがあります。

ご家族がすべてを解決しようとする必要はありません。

「一緒に考え、一緒に歩んでいく」という気持ちで関わることが、ご本人にとって大きな安心につながります。

まとめ

高次脳機能障害のあるご家族を支えるためには、まず「脳の障害によって起こる症状」であることを理解することが大切です。

見た目では分かりにくく、「できること」と「できないこと」が混在するため、ご本人も戸惑いや不安を抱えながら生活しています。

「頑張ればできる」と考えるのではなく、生活しやすくする工夫を一緒に考え、「できること」を大切にしながら支えていきましょう。

また、ご家族だけで抱え込まず、専門職や地域の支援を活用することも重要です。

ご本人だけでなく、ご家族自身の健康も大切にしながら、一歩ずつ歩んでいくことが、長く安心して生活を続けるための大きな力になります。

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