構音障害とは?
脳卒中(脳梗塞・脳出血)は、体の動きだけでなく「話す力」にも影響を及ぼします。その代表的な症状のひとつが構音障害です。
ここでは、脳卒中でなぜ発音が不明瞭になるのか、どんな特徴があるのか、どのようにリハビリしていくのかをわかりやすく解説します。
1. なぜ脳卒中で構音障害が起こるのか
話すためには、舌・唇・あご・声帯などを細かく動かす必要があります。
脳卒中で脳の神経がダメージを受けると、
- 舌や唇の力が弱くなる
- 動きがぎこちなくなる
- 指令がうまく伝わらなくなる
といった状態になり、音を作る動きがスムーズにできなくなります。
脳卒中でみられる構音障害の多くは、**運動障害性構音障害(ディサースリア)**に分類されます。
2. 脳卒中後の構音障害の主な症状
脳卒中によるディサースリアには、次のような特徴がよく見られます。
- 発音がはっきりしない(モゴモゴした話し方)
- 話すスピードが遅くなる、または早くて不自然になる
- 息が続きにくい
- 声が弱い・かすれる
- リズムや抑揚が単調になる
- 舌や唇の力が弱く、動きにくい
聞き取りづらさだけでなく、本人が「話しにくい」「疲れやすい」と感じることも多くあります。
3. 失語症との違いに注意
脳卒中の後遺症には失語症もありますが、構音障害とは別のものです。
- 構音障害:音を作る動きの問題(運動の障害)
- 失語症:言葉そのものを理解・表現する能力の問題(言語の障害)
両方が同時に起こる人もいるため、専門的な評価が重要です。
4. 評価(検査)はどのように行う?
言語聴覚士(ST)が、次のような方法で状態を詳しく調べます。
- 発音テスト(単音・単語・文章)
- 舌や唇の動き・筋力のチェック
- 声の強さ・質の評価
- 呼吸と発声の状態
- 会話のスピードやリズムの分析
これらを組み合わせて、どのようなタイプの構音障害かを判断します。
5. リハビリでできること
脳卒中後の構音障害は、適切な訓練を続けることで改善が期待できます。
(1)口腔の運動練習
- 舌を動かす練習
- 唇をすぼめる・横に広げる練習
- 顎の安定を高める練習
(2)発音の練習
- 音の分解練習(例:「た」を言うときの舌位置を確認)
- 音節 → 単語 → 文へと段階的に練習
- 悪くなりやすい音(サ行・ラ行など)を重点的に
(3)呼吸・発声の練習
- 息を一定に流す訓練
- 声を大きく、はっきり出す練習
- 無理のないスピードで話す方法
(4)補助的な工夫
- ゆっくり話す
- 区切って話す
- 伝わりにくい場面では筆談やジェスチャーを併用する
- 家族や周囲が話し方のヒントを返す
リハビリは、本人の状態・症状・体力に合わせて調整しながら行うことが大切です。
6. 回復の見通し
脳卒中後の構音障害は、
- 脳の損傷部位
- 重症度
- 年齢
- リハビリ開始時期
- 継続の有無
によって改善の度合いが変わります。
早期からリハビリを始めるほど、改善しやすいとされています。
まとめ
脳卒中による構音障害は、舌や唇の動きをコントロールする脳の障害によって、発音が不明瞭になる症状です。適切な評価とリハビリにより、日常会話の聞き取りやすさは大きく改善できます。
「話しづらい」「何を言っているかわかりにくいと言われる」などの症状がある場合は、早めに言語聴覚士に相談することが、回復への第一歩です。

