加齢による構音の変化とは?
年齢を重ねると、体力や筋力が低下するように、「話す力」にも変化が現れます。
「昔より滑舌が悪くなった」「言葉がもつれるように感じる」といった症状は、多くの人が経験する自然な変化です。
ここでは、加齢が構音(発音)にどのような影響を与えるのか、その原因や改善のヒントをわかりやすくまとめます。
1. なぜ加齢で構音が変化するの?
加齢によって、発音に関わる複数の要素が変わります。
① 舌・唇・あごの筋力低下
舌や唇の力が弱くなると、
- 音の切り替えが遅くなる
- サ行やタ行など細かい動きが必要な音が出しにくい
といった変化が起こります。
② 口の中の感覚が鈍くなる
舌の位置を感じにくくなることで、正確な調音が難しくなります。
③ 唾液量の減少
口が乾燥すると、
- 舌が滑らかに動かない
- 音がはっきりしない
と感じることがあります。
④ 歯・噛み合わせの変化
歯の欠損、義歯の不適合、噛み合わせの変化は、特にサ行・ザ行・タ行・ラ行などに影響します。
⑤ 呼吸・発声の変化
加齢により、
- 息が続きにくい
- 声が弱くなる
- 音の強弱がつけにくくなる
といった変化も起こり、聞き取りやすさに影響します。
2. 加齢による構音の特徴
年齢による変化は、病気による構音障害とは異なり、ゆっくり進むことが多いです。
代表的な特徴には次があります。
- 発音が不明瞭になる
- 声と息のバランスが取りづらい
- 話すスピードが遅くなる
- 長く話すと疲れやすい
- 舌の動きが重い・遅い
本人が「話しづらい」と感じるだけでなく、まわりが「聞き返しが増えた」と感じるようになることもあります。
3. 改善・予防のためにできること
加齢による構音の変化は自然なものですが、訓練や生活習慣の工夫で改善が期待できます。
(1)舌・唇のトレーニング
- 舌を前後・左右に動かす
- 唇をすぼめたり、広げたりする
- 早口言葉や読み上げ練習
(2)口の乾燥対策
- 水分補給
- ガム・飴などで唾液分泌を促す(糖分には注意)
- 加湿器の利用
(3)歯科のチェック
- 義歯の調整
- 噛み合わせの確認
- 定期的な歯科受診
(4)呼吸・発声の練習
- ゆっくり一定のペースで息を出す練習
- 声を無理なく響かせる練習
(5)コミュニケーションの工夫
- 区切って話す
- ゆっくり目に話す
- 相手に向かって話す(聞き返しが減る)
4. 病気による症状との見分け方
加齢だからと放置してしまうと、実は脳卒中・パーキンソン病・口腔がんなどの病気が隠れている場合があります。
以下のような場合は、専門家に相談することが大切です。
- 急に発音が悪くなった
- 声が極端に弱くなった
- 食べ物がむせやすくなった
- 顔や舌が動きにくい
- 片側の手足に力が入りにくい
疑わしい場合は、医療機関や言語聴覚士へ相談してください。
まとめ
加齢による構音の変化は、舌や唇の筋力低下、歯や唾液の変化、呼吸・発声の衰えなど、さまざまな要因が重なって起こります。
しかし、適切なトレーニングや生活の工夫によって、滑舌や発音の明瞭さは十分に改善できます。
「最近、話しづらくなった」「聞き返されることが増えた」と感じる方は、日々のケアや専門家への相談を早めに行うことで、快適なコミュニケーションを保つことができます。

